Alternatorその後

前回のローター交換で発生した謎の失火。事前にタイミングライトを購入し、万全の体制で検証と修理に臨む。

失火の原因を探るとなれば、電気だけでなくキャブも疑わなくてはならない。榎本さんから混合気の薄さが原因ではないかという指摘を受け、自宅に戻ってからニードルの段数変更、メインジェット拡大など、何度かセッティングを換えながら試走するも、失火症状に直結するような変化は見られず。

しかし購入したタイミングライトを繋いでエンジンをかけてみると、失火時にストロボが明滅しない。つまりプラグコード自体にパルスが発生しておらず、失火の原因は燃焼室内の現象ではなく、完全に電気が原因という切り分けが修理前の検証で可能になった。

ここまでくればあとは電装系の再チェックしか無い。最悪元のローターに戻すしか手は無いか…… と思いつつ、オルタネーターを露出させるためにオイルを抜きプライマリーカバーを外すと、ポトリと小さな金属片がケース内に落ちてきた。薄く切ったカマボコのような半月形の金属片、なんとローターをクランクシャフトに固定するためのキー。つまり前回ローターを換装したときのキーのハメ合いが悪く(弱く?)キーが外れてしまっていたという、とんだヒューマンエラー。ダサすぎる…… 相談した皆さんごめんなさい……

クランクシャフトと完全同期で供回りしないといけないローターが、回転負荷をかけるとクランクシャフトの回転についていけず座標のズレが発生していたらしい。エナジートランスファーの場合、本来ポイントの点火タイミングに合わせてステーターの鉄芯前をローターの磁石が通過し電気を発生させるわけだが、そのタイミングがズレれば、当然イグニッションコイルからスパークプラグに高電圧の電流は流れない。

再度念入りにキーとローターを装着、ナットに高強度のロックタイトを塗ってクランクシャフトに締め込む。落ち着いてエンジンをかけてみると…… 失火すること無くエンジンが回る!

今回は作業者である僕の単純なミスだが、幸いだったのはロックの外れたローターが暴れて、ステーターやクランクシャフトなどの最重要パーツを破壊しなかったことか。さらに副作用として、遅角側に進角を振ると何故か発電タイミングのズレに対して鈍感になる、というデータも得ることが出来た。理屈はサッパリ解らないけど。

せっかくプライマリーを開けたのでついでに点火系を総点検。ポイントをペーパーでならしギャップを0.15インチ(約0.38mm)に調整。コンタクトブレーカーハウジング内のコードの取り回しも整理する。ガバナーも取り外し分解清掃、高粘度のルブを差して動きが渋くないか動作チェック。タイミングライトで照らすと進角し始めるタイミングが若干早い気がしたので(つまりガバナーの羽が遠心力に負けて開き始めるタイミングが早い)、スプリングも新品に交換。スプリングはノートン純正のものだが巻き数や形状なども同じなのでほぼ互換パーツだろう。エンジン回転数に対する遠心力自体はどんなバイクだろうと同じなので、ガバナーの羽、ボブウェイトの重量で開くスピードをコントロールしているはず。最大進角も念入りに合わせてカバーを閉じ、エンジンオイルと同じ20-50のプライマリーオイル140ccを注ぐ。

ドキドキしながら試走してみると、失火は起こらない。無事に解決したようだ。

とりあえずこれで購入以来の電気・吸気系の問題、最悪の始動性とアイドリングのハチャメチャさは一応収束した。もちろん多少気になるところはあるが、これぐらいはトラブルというより個体の癖といえる程度の症状。なんとか普通に乗れる程度には調子が出ていると言っていいと思う。

機関や車体といった機械部分のヘタリは、比較的やればやるだけ良くなるという結果が伴う気がするので、まずは原因不明のトラブルで詰みやすい電気と吸気を直したかった。オーバーホール後にエンジンが全然かからないとかアイドリングが全然安定しなくて残念、というのは心がポッキリ折れるというか覇気を奪われるので。

今後は調整程度でしばらく乗って、やる気が充電できたら機関部オーバーホールに臨もうかと思う。もちろんトリニティーがあるうちに……

写真はハウジング内のガバナー。最大進角時のガバナー位置のメモとして。
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by motorshack | 2012-01-14 17:57 | B40ES日記
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