Lucas Auto Advance Unitその後

前回からの続き。

ということで、本来B40の工場出荷時に装着されていたと思われる、5度進角のガバナーに換装してみた。

結果を先に言うと、コールドスタート・暖気後などの条件を問わず、あらゆる状況でほぼキック一発始動となった。始動性だけに限っては、完調宣言して差し支えない状態だと思う。

現在の状況を数字に置き換えてまとめると、最大進角が33.5度に対して、始動時の最大遅角が13.5度から23.5度に10度早くなったということ。

始動時の進角を早くしたら、なぜ始動性が良くなったのか? もちろんたくさんの理由が大小とりまぜ複合的に関与していると思うし、僕は内燃機関や点火・電気については本当に無知なので(このブログを読んでくれている人はわかってると思いますが)、もちろん適当なことは言えません。

とはいえ僕なりに(無知は無知なりに)仮説をあれこれ考えてみると、進角を早めることにより点火時の圧縮圧力が低下したことが、始動性の良くなった理由なんじゃないだろうかと推測している。

B40の点火方式エナジートランスファーは、原理的にCDI点火方式と非常によく似ていて、放電時間がバッテリー点火方式と較べて非常に短いらしい(文献によればバッテリー点火方式の5分の1程度の放電時間とも)。

放電時間が短いために、CDIと同じく高回転時では安定した連続放電が期待できるけど、おそらく始動時・低回転時は、うまく火炎伝播を起こすことが出来ずに火種が立ち消えてしまうのではないだろうか? この放電時間の短さによる失火を回避するためには、プラグの要求電圧を下げる燃焼室内の環境を用意する必要があるはず。

燃焼室内の圧力は上死点が最も高いので、ピストンが上死点に近ければ近いほど、どんなに強く長い時間火花を飛ばそうとしてもエンジンはかかりづらくなる。ということは、進角を早めることで燃焼室に加えてピストンの下がったシリンダー容積のぶん、点火時の圧縮圧力と同時にプラグの要求電圧も低下するんじゃないだろうか?

もしこの仮説が正しければ、暖気後の始動性低下もなんとなく説明が付く。暖気後は混合気や電極の温度上昇によりプラグの要求電圧は本来下がるはずなんだけど(この理屈が今まで引っかかって混乱していた)、燃焼室・シリンダー内部の温度が上昇することで気圧も比例して上昇(ボイルの法則とか忘れてるけどたぶんそんな感じでしたよね?)、混合気や電極の温度上昇を超える圧縮圧力の上昇で、プラグの要求電圧も一気に上がっていたのではないだろうか?

もちろん今回の結果は圧縮圧力を下げた理由だけじゃなくて、ローター交換、キャパシター交換、イグニッションコイル交換、プラグキャップ無抵抗化、イリジウムプラグ換装、etc... 今まで試行錯誤した様々な施策が積み重なっての結果だと思いますが……

まぁ理由はともかくエンジンがかかるようになって良かった。これでもうガソリンスタンドで屈辱的な思いをしなくて済む。というかおそらくこれが本来の姿、設計意図通りのB40なんだろう。

B40発売当時のエンデューロやモトクロスの映像を見ると、レース中のエンストからキックによる再始動なんて日常茶飯事。始動性が悪いだの暖機するとエンジンがかからないだのというレーサーなんて、どう考えてもあり得ないし絶対に勝てない。少なくとも僕だったらそんなマシンを買ってレースに出ようとは思わない。むしろキック一発で確実に始動する信頼性こそが、エンデューロレーサーの重要なポイントだったんじゃないだろうか。

エンデューロレーサーとしての低圧縮仕様(B40の圧縮比は7:1)、軽量化のためのバッテリーレス仕様、オンロードレーサーとは異なる再始動性の重要度、様々な条件からBSA設計陣がB40のために選択したのが、このエナジートランスファーなんだろうと勝手に想像しております。

相変わらず滅茶苦茶勝手なことを書いておりますが、突っ込みよろしくお願いします。
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by motorshack | 2012-07-10 23:40 | B40ES日記
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